α様は毒甘な恋がしたい



「ハルヒ、一緒に逃げるよ。こんな地獄から!」

「無理だよ」

「やる前から諦めないで! 着物を着てても走れるから!」

「そうじゃないの……鎖でつながれてるの……私の足……」

「……、く…さ…り?」


 僕はあわてて、視線を床ぎりぎりに下げる。

 ハルヒが着ている白桃色の着物の裾で隠れていて、全く気がつかなかった。

 壁から伸びているのは、太い鎖。

 逃がさんと言わんばかりに、ハルヒの両足に足かせがはまっている。

 この部屋にいる20人くらいの若者の足にも、がっちりと。


 鎖で自由を奪われているというのか?

 なんて酷いことをするんだ!

 なんでオメガを、同じ人間として扱ってあげないんだ!


 僕はしゃがんでいるハルヒの肩に飛び乗り、決意をハルヒの耳にぶちこんだ。