α様は毒甘な恋がしたい


 怒りで我を忘れた僕。

 屋根から飛び降り、地面を這い、オメガ専門店の前に。


「なんだ、この生き物は?」

「初めて見たぞ」

「みんなが探してる、幻の生物じゃないのか?」

 捕まえようとする人間を腹ピョンでかわし、格子の隙間から店の中に入り込む。


 ぴょんぴょんぴょん。

 跳ねて跳ねて、迷うとこなく大好きな子のところへ。

 いつもの定位置・ハルヒの肩にはあえて乗らず、真正面からハルヒを見上げた。


「なっなんで、(こう)くんが……」


 僕と少しでも目線の高さをわせるように、しゃがみこんだハルヒ。

 左手の薬指を噛みながら、大粒の涙を流していて


「もう一度、白桃が食べたかったに決まってるじゃん!」


 再会できた喜びを伝えるのが、世界一下手な僕は

 ドS言葉と一緒にこぼれそうになる涙を、意地でも目の奥に押し戻す。