α様は毒甘な恋がしたい


「あれ? 動かない。孝くん、私のことを忘れちゃった?」


 忘れるわけ……ないじゃん……

 毎日、ハルヒのことしか考えてなかったのに。


「はっ? 僕の記憶力をなめてるの?」

「そういうわけじゃ」

「不憫で泣き虫なオメガのことなんて、生まれ変わっても忘れないし!」

「フフフ。ツンツン孝くんとのこういうやり取り、久しぶりで嬉しいな」


 今日のハルヒは、笑ってばっかりだ。

 あっ、腕や足についていたアザが薄まってる。

 こぎれいな身なりといい、高そうな果物を持ってきたことといい、ハルヒはオメガとして虐待されなくなったのかな?


 僕は心配を隠し、ぶっきらぼうな声を吐く。


「ハルヒは雨の間、元気だったわけ?」

「私のことはいいからさ、孝くんのことを聞かせてよ」

「僕?」


「大丈夫だった? ツチノコを狙う人間に、捕まえられた仲間はいない?」

「捕まるはずないし。僕たちは土の中に隠れるプロだし」

「アハハ。自分でプロフェッショナルって断言しちゃうんだ」


「あー、ハルヒにバカにされた」

「してない、してない。自信家でドSな孝くんらしいなって思って」