α様は毒甘な恋がしたい



「56ビューはオマケって、いのりんの言うとおりだね」


 …って、二人用のマイク、ちゃっかりステージ袖に用意してあるじゃん。



「あっ、美心ちゃんがステージ袖に来てくれたわ。おーい、ここよここー」

「ハァハァ……あっあの……遅くなんて申し訳ありません」


 僕たちが立つステージに着くなり、荒れた息を整えるように、前かがみで肩を揺らしているけど。

 もしかして美心ちゃん……

「教室から走ってきてくれたの?」


「講堂が校舎からこんなに遠いとは思わなくて……チャイムとともに教室を飛び出したんですけど、私、走るの早くないし……」


 いや、走らんでよかったから。

 一緒の教室で授業受けてて思うけど、美心ちゃんって他人に気遣いすぎじゃない?


「うちの学園、敷地が広すぎるのよね。そのうえ校舎や部室棟も多いの」

「何かお手伝いすることはありますか?」


 ほら、そういうとこ。

 まだ息がハーハーしてるんだから、大女優になったつもりで優雅に椅子に座ってなよ。