α様は毒甘な恋がしたい

 僕は暗幕を掴みダダダダダダ。

 ステージの端から端まで猛ダッシュ。

 あれ?

 猛ダッシュする必要なかったよね?

 気づくの遅っ。

 無駄に体力を使っちゃったのは自分のせいなのに、隠しカメラのチェックを終えステージに戻ってきたいおりんに、あえて僕は吠える。


「ステージ中央に、ギターボーカルの戒ちゃんが使うスタンドマイクはあるよ。美心ちゃん用の手持ちワイヤレスも。でもさ双子アイドル用のマイクがなくない? いのりん、忘れてるじゃん!」


 ふくれっ面の僕に対し、いのりんはルンルン笑顔で


「私たち89盗がメインで、ゴロビューの二人はオマケなんだから、地声で歌って、勝手に踊っててもらえばいいのよ」

 聖女っぽく微笑みながらも、ぶちこんできたのはかなりの毒舌。


 俺は思わずプッ。

 アハハ、なにそれ。