α様は毒甘な恋がしたい


 こぶしを口元に当て、クスクスと慎ましく微笑んだいのりん。

 シャツ・ネクタイ・ズボンと男子の制服を着ているのに、どこからどう見ても美女にしか見えなくて。

 アイライン&マスカラは、ケチることなくたっぷり盛り。

 黒で囲まれた切れ長アーモンドアイの、存在感が半端なくて。

 視線釘づけナンバーワンの顔面パーツである唇は、ド派手なくらい真っ赤に潤っている。


 エセ聖女らしさが薄らいでいるのは、高い位置で縛ったピンク髪ポニーテールのせいなのかな?

 まるでロック美女。

 いや、パンク美女というべきか。

 ライブの時のいのりんは、ワイルドで尖った色気を放つ天才なんだ。



 僕は立ち上がった。

 頭の後ろに両手を置き、24時間女の子になりきりたい願望を持つ、いのりんの前に進む。