「ルキ、何を企んでる?」

 「壊すんだよ」

 「壊す? さっき言ってたよね? もう地球には手を出さないって」

 「だから地球には興味はない。俺が壊したいのは、清らかな人間の心」

 「こころ?」

 「七星美心の精神だよ」


 ……うそ

 ……だよね。

 美心が、残虐なルキのターゲットになってしまったということなのか?


 「物理的な破壊は経験値が高いが、精神的な破壊はそこそこレベルでな。一度天界に戻って、メンタル破壊計画を立てなくては」

 「ルキ、あの子は……」

 「安心しろ、戒璃の想い人の命までは奪わん」

 「だから……」

 「壊しがいのあるオモチャと、出会わせてくれてありがとな」

 「ルキ、話を聞いて!」

 「じゃあな、裏切者」

 「お願い、待ってってば!」


 声を張り上げながら、ルキを捕らえようと必死に伸ばした手。

 でも俺の腕は、むなしく(くう)を切っただけ。


 不気味に八重歯を光らせたルキは、一瞬で消え。

 俺はとんでもないことを企む怪物を、引き留めることができなかった。