α様は毒甘な恋がしたい



 そもそも今、寝泊まりしている病院は大丈夫なところなのか?

 56ビューの二人が用意したと思うから、美心の安全を第一に考えていると想像はできるが……

 何かあってからでは遅いんだ。

 俺が美心の側にいて、守ってあげるのが一番いいはず!

 美心が安心して暮らせるマンションを購入して。

 寮を出て、俺も一緒に住めば……


「八神先輩、勘違いしていませんか?」

「俺が……勘違い?」

「私はオメガじゃないです。アルファです」

「……えっ?」

「人と接した記憶はほぼないんですけど、私がアルファだってことははっきりと覚えていますし。目覚めた時、病院の先生も言っていました。アルファが飲む薬を処方しておくから、絶対に飲み忘れることがないようにって」


 いやいや、そんなはずはない。

 番関係が断たれた今、俺は美心が放つフェロモンに惑わされることはなくなった。

 でも、かすかに感じ取れるんだ。

 美心が放つ甘美な匂いは、出会った2年半前から変わってはいない。