α様は毒甘な恋がしたい



「ごっ、ごめん。今のは俺の勘違いというか、言葉のあやというか……」

「病院の先生も看護婦さんも、誰も教えてくれないんです」

「何を?」

「私の過去。記憶が変にすり替わっちゃったら大変だからって。赤ちゃんの頃に両親はなくなったとだけ、聞いていて……」

「そうなんだね」

「もしかして私……双子アイドルのお二人と、過去に何かあったんでしょうか?」

「えっ?」

「意識を取り戻して学園に登校したら、そのお二人が教室に駆け込んできたんです。私のことは知らないとおっしゃってましたけど、『失敗してごめん』って謝られて。どうしてもそれが引っかかっていて……」


 そのごめんは『八神戒璃との番を解消した時に、誤って八神戒璃以外の記憶まで奪ってしまった』ことに対する、謝罪だろうね。

 記憶喪失の美心に自分たちの本性を暴露できなくて、あいまいな言葉で濁したんだろうな。


「それから美心さんは、56ビューの二人には会ってないの?」

「廊下ですれ違ったことはあったんです。でも、目が合ってもすぐにそらされてしまいました。なので、知り合いではないんだろうなと思いましたけど」