α様は毒甘な恋がしたい



 どちらからともなく、ベンチに並んで座った俺たち。

 
 「良かったら、一緒に」

 渡されたのはシャボン玉セット。

 こんなもの……と思いながらも、面倒くさそうな顔で吹いてみた。


 ガキの遊びだと思って見下していたけれど、全然違った。

 シャボン玉を吹くと、心の荒波がちょっとだけ穏やかになる。

 どす黒い恨みが、キラキラなシャボン玉の中で浄化されていくような。

 もちろん親や村人に裏切られた怒りは、消え去ってはくれないけれど……でも。


 
 いきなりザワつきだした、俺のハート。

 なぜ心臓が跳ねているのか、理解に苦しんでしまう。

 バクバクをごまかしたい。

 無表情のまま、俺はぶっきらぼうな声をもらした。


 「俺は戒璃(かいり)。名前は?」

 「わっ、私は美心です」

 「俺は15だけど」

 「14です。今、中学2年生で」

 「ふーん、俺の一つ下か」