α様は毒甘な恋がしたい

 4人掛けベンチの端と端。

 間に力士が余裕で胡坐をかけるくらいの距離を保ちながら、俺たちは座っている。

 ゼロ距離を望んでいるのは、悲しいが俺だけのようだ。

 美心は気まずそうに視線を泳がせ、無表情でシャボン玉を吹きはじめた。


 2年半前のように、楽しくおしゃべりがしたい。

 肩をぶつけあいながら、たわいもない話で笑いあいたい。



 美心を笑顔にできた喜びを噛みしめながら、もっともっと笑顔にしたいと欲ばってしまう、高揚感と幸福感に満たされたあの感覚。

 もう一度味わいたいけれど……


 嫌われたくないんだ

 情けないけど、それが本音。

 大好きだからこそ、嫌われるのが極端に怖い。

 学園で再会してさんざん美心を傷つけたくせに、こんな恐怖におびえるなんてね。



 都合のいい自分に嫌気がさし、気晴らしに黙ってシャボン玉を吹く。

 太陽の光できらめく、小さなシャボン玉たち。

 風で飛ばされていくのを目で追いながら、幸せと悲しみが入り混じった2年半前の記憶をひも解いた。