α様は毒甘な恋がしたい



【八神戒璃がいると思うから、一緒にシャボン玉を吹いてあげて】


 俺の名前が書いてある!


【戒ちゃん今ね、新曲のタイトルが決まんなくて煮詰まってるの】

 
 その通りだけど……
 

【転入生ちゃん、協力してあげて! 絶対にだよ!】


 脅し文句と公園の地図が貼り付けられ

 『89盗のドラム担当、孝里より』でしめられたメッセージ。


 俺の脳が、プシュープシューっとパンク気味に空ぶく。

 十守孝里の心の翻訳機、今すぐ誰か開発して欲しいんだけどな。


 意図がわからずお手上げ状態の俺は

 ベンチに座ったまま、顔に手を当てうつむいた。

 

八神(やがみ)先輩は、シャボン玉が好きなんですか?」

 
 さっきからだけど、俺に対して敬語を使うんだね。

 記憶喪失前は、戒璃くんって気軽に呼んでくれていたのになぁ。

 
「素敵な曲のタイトルが浮かぶといいですね」

「あっ、ありがとう」


 とっさにこぼした苦笑い。

 俺は美心から、シャボン玉セットを受け取った。