α様は毒甘な恋がしたい



「あの……私と一緒に……シャボン玉を吹いてもらえますか?」


 えっ? シャボン玉?


「なんで?」

「歌詞カードの一番後ろのページに書いてあるんです。逆らったら、89盗(はくとう)の歌を全曲披露してもらうからって」


 ん? 何の話だろう? カラオケかな?



 頭をひねらせながら、俺は美心が持っている歌詞カードに視線を移す。

 踊っているのは、豪快にペンを走らせたのがまるわかりな男らしい文字。


 バランスが悪いと言うか、読みにくいと言いうか。

 これは間違いなく、孝里(こうり)が書いたものだ。

 完璧な美少女顔と、ヘタと言わざるおえない残念文字とのギャップ。

 それが孝里の魅力の一つでもあるから。


 なんて書いてあるんだろう。

 なになに?



【明日土曜日、15時、ツチノコ公園にきてね】


 ツチノコ公園ていうんだ。

 人気が全くないこの公園は。


【持ち物は、シャボン玉二人分】


 なぜに?