α様は毒甘な恋がしたい



「女の子と一緒にライブするのが、私の夢だったんだ。しかも記憶喪失の激レアちゃんがお相手だし。嬉しい~ 私の夢を叶えてくれて、ありがとう~」


 祈さん、やめてやめて、抱き着かないで。

 これじゃ「ステージに立ちません」なんて言えなくなっちゃう。


 でも断るなら今しかない。

 気持ちを強く持って。

 こぶしをギュっと握って。

 おなかに空気をめいっぱい入れて……


「あっあのぅ私……ステージに立つのは……無理というか……」

「えつ? 私の夢を叶えてくれないの?」


 ひゃっ?


「いのりんは昨日の夜ね、貴重な睡眠時間を削って、USBに曲を入れ込んだんだよ」

「今朝ファンデのりが悪かったのは、そのせいかも。グスン」


 なっ、泣かないでください。