α様は毒甘な恋がしたい



「私ね、両親も兄弟も親族もいなくて……」

「身内ゼロ?」

「嘘だよな?」

「人と関わった過去が全く思い出せないから、お医者さんが教えてくれたんだけど。私が生まれてすぐに、両親が亡くなっちゃったんだって」

「……マジか」

「本当はもっと自分の過去を知りたいんだけど、教えてくれなくて。脳をヘタに刺激して、記憶が書き換えられちゃうと取り返しがつかなくなるからって。だから転入前はどこの高校に通っていたかも、さっぱりで。そういう質問には答えられないんだ……」

「七星に、父親も母親もいないなんて……」


 ……あっ、やっぱりこうなったか。

 ワイワイガヤガヤだったお祭りテンションが一変。

 チーン。

 お葬式チックな、息苦しいジメジメ空気になっちゃった。


「なっ、なんか俺、変なこと聞いちゃったな……」

「私も大企業の娘って勝手に勘違いして盛り上がって、本当にごめんね」


 手を合わせて、必死に謝られたりもして。