α様は毒甘な恋がしたい


「安心してるって顔じゃないじゃん。戒ちゃん、世界の終わりみたいな顔してるじゃん」

「そっ、そんなことはないよ」

「まぁ、普通に生活してたらありえないもんね。意識不明とか記憶喪失とか。でも安心して。あの転入生、メンタル鋼族っぽいから」

「孝里は、どうしてそう思うの?」

「普通言う? 『記憶喪失は貴重な経験だから、人生の糧になると前向きに考えて、学園生活を楽しもうと思います』なんて。長いサラサラ髪を揺らしながら、癒し系スマイル満開で」


「そっかぁ。芯がしっかりしてるとこ、やっぱり変わってないんだ。2年半前から……」

「ん? 戒ちゃんなんか言った? ボソボソで聞こえなかった!」

「いいっ……意味のないつぶやきだったから、気にしないで」