α様は毒甘な恋がしたい



「わっ、わわわわ私は、スリルなんて求めてなくて……平穏が好きで……」

「平和主義者か」

「……どちらかというと」

「まぁ、一応は覚えといてやる」



 結構です。

 見ず知らずのオメガのことなんか、記憶から排除してください。



「噴水に人が落ちたよね?」


 噴水池の外から若い子の声がして、私の心臓が焦りだす。



 ほっほら、どうするんですか!

 噴水の周りに、ワラワラと人が集まってきちゃったじゃないですか!



「わっ私、バイトがあるのでこれで……」



 よかった。

 足に力が入った。

 立ち上がれた。

 噴水のふちをまたいで、このまま安全なところへ……って。



「俺様から逃げようとした女、オマエが初めてなんだけど」



 ひぃあぁぁぁ!

 すでに私の腕が捕まってるし!

 彼の大きな掌で、しっかりホールドされてるし!