α様は毒甘な恋がしたい


「もう授業始まってる時間だよ。目覚めたのか?とか痛いところは?とか、失敗してごめんとか、必死な顔で転入生の腕を掴んでてさ。その転入生ね、戸惑いながら言ったの。双子アイドルに向かって。誰ですか?って」

五六(ふのぼり)風弥(かざみ)雷斗(らいと)のことも、覚えていないなんて……」

「金髪の弟の方は『うそだろ?』って絶叫して。頭抱えて床にしゃがみこんじゃって」


「メガネの兄の方は?」

「普段の冷戦沈着さはどこ行っちゃったのさってくらいオロオロしてたんだけど。転入生と双子アイドル様たちってどういう関係?って、生徒たちが騒ぎ出してからかな。 兄の方がいつもの冷静さを取り戻してさ。勝手に説明しはじめて」

「なんて言ってた?」

「意識不明の転入生が目を覚ましたって情報が来て、知らない子だけど同じ学園の生徒だし、元気かどうか顔だけでも見たくなって飛んできちゃったって。うちのクラスの女子たちが『56(ゴロ)ビューの人情味があって優しいとこ、大好き!』って、うっとりしてたっけ」