α様は毒甘な恋がしたい


「午後一の授業が始まるときに、先生と教室に来て。黒板の前に立って、その転入生が挨拶したんだけど。びっくりする話ばっかり聞かされてさ」

「ん?」

「学園の階段から落ちたせいで頭を打って、意識なくなって、目覚めたら人生の記憶っていうか過去の想い出がなくなってたんだって」

「……記憶……喪失?!」


「ありえなくない? 僕ら89盗のことも知らないっていうんだよ。女子たちが『世界的大人気バンド89盗の孝ちゃんだよ』て僕を指さしても、記憶にないって首を横に振ってたし」

「俺のことだけじゃなくて、孝里のことも覚えていないなんて……」

「なんで、戒ちゃんのことは忘れてて当たり前みたいな驚き方なのさ?」

「いっ、いや……今のは言葉のあやで……」


「んで、もっとビックリしたことがあってさ。その子がクラスメイトに挨拶をしてる時に、いきなり56ビューの双子アイドルが飛び込んできたの!」

「教室に?」