「ドアから離れたところに立っていたからね」
「よかったぁ。戒ちゃんにちょっとでも傷がついたら、世界中の戒ちゃんファンが寝こんじゃうんだから! 早く治りますようにって滝行に行っちゃうファン急増で、世界で風邪が大流行して、病院待ちがすごくて、薬が足りなくなって、お医者さんも疲労でバタバタ倒れちゃって……」
「孝里、大げさ」
「何言ってんの! 戒ちゃんは顔も体も大事にしてよ! あっ、ファンだけじゃなく僕もだよ。戒ちゃんに何かあったら、僕も泣いちゃうんだから。体から水分が全部抜けて、干からびちゃうんだから! 干物として海沿いのお土産屋さんで売られちゃうよ、僕。するめと一緒に。いいの? いいの?」
「アハハ~、孝里ありがとう。笑ったらちょっと元気出たよ」
「それはよかった。でもさ、ほんと許せないよね! あの双子アイドルたち!」
「……そのことなんだけどさ」
「難しい顔して、どうしたの?」
「悪いのは俺の方なんだ……」
「戒ちゃんが? 五六兄弟じゃなくて?」
えっ? どういうこと?
「ギター置いて、ちょっと休憩してもいい?」
「あっ、うん」



