α様は毒甘な恋がしたい



 とはいっても、僕は戒ちゃんのことが大好きだし。

 戒ちゃんが自暴自棄になって、僕といのりんの秘密の計画が実行できなくなっても困るし。

 89盗(はくとう)という居場所が心地いいから、戒ちゃんに吐く毒は弱めにしているんだ。

 テヘッ! ペロッ!




 おでこに手を置き、だるそうに目をつぶった戒ちゃん。

「あれ……二人だけ? えっと……(いのり)は?」

 目の前に立つ僕に、ハテナをとばしてきた。



「もう戒ちゃん、いのりんは迷える子羊ちゃん達を救いに行っちゃったでしょ?」

「あー、また動画配信ね」

「覚えてない? 戒ちゃんも手を振ってたよ。行ってらっしゃい、(いのり)がんばってねって」

「……そうだったかなぁ」

「そうなの。僕は見たの」

「俺ね、寮に帰ってきてからの記憶がないんだ」

「それ、睡眠時間が足りてないからでしょ? 戒ちゃんは毎日毎日、やらなきゃを詰め込み過ぎなんだって!」