極上に甘い声。

 ささやきながら、戒璃くんはとびきりの笑顔を浮かべてくれた。


 テレビで見る王子様スマイルを、私だけにプレゼントしてくれた。

 ファンに恨まれそうなほど贅沢な時間だった。


 それなのに……


 私の心臓が、トラックにひかれたような激痛に耐えられない。




 言われちゃったな。

 二度と話しかけないでって。


 大好きな人からの残酷なフレーズ。

 頭の中で何度もリピートされ、私は口角を上げる気力すら湧き上がらない。



「花瓶を割ってしまって……本当にごめんなさい……」



 私は戒璃くんに深く頭を下げると

 傷口がうずく足を引きずりながら

 生徒会室を後にした。