α様は毒甘な恋がしたい



 なんでこんな時に、涙があふれてくるかな。

 戒璃くんの無実を訴えなきゃいけない、大事な場面なのに。

 大粒の涙が、ボロボロって。


「私がいけなくて……アルファを誘惑する人食い花だからで……知らず知らずのうちに、フェロモンを放ってて……」


 だから……


「美心、泣かないでください。オメガだからって、自分を卑下する必要はないんです」

「オメガがいなければ……私がこの世に存在しなければ……戒璃くんも……アルファのみんなも……」

「なにバカなこと言ってんだよ! ほら、俺様の袖で涙拭け!」

「あなたは人食い花ではありませんよ」

「カザミの言うとおりだ」

「……でも」

「美心はそのままでいいんです」

「オメガ姫の七星美心として、アルファにも負けないキラッキラな笑顔の花を、無邪気に咲かせときゃそれでいい」

「……風弥さん……雷斗さん」



 私の頭に、二つの温かい手のひらがのっかった。

 止まらない涙を袖でこすり、視線を上げてみる。