α様は毒甘な恋がしたい


 醜い感情を叫ぶように言語化してしまい、私の呼吸が駆け狂っている。

 はぁはぁと荒い呼吸を続けるたび、涙が床にポタポタたれてしまう。



 はぁぁぁぁ、なんてことをしちゃったんだろうな……私。

 2年半前に一緒に過ごした私のことを覚えてもいない芸能人相手に、まくし立てるように涙声を飛ばしちゃうなんて。



 私は、水でびしゃびしゃに濡れた床の上に座ったまま。

 涙でぐちゃぐちゃな顔を、大好きな人に晒してしまっている。



 でももういいのか、戒璃くんに嫌われても。

 風弥さんと雷斗さんに頼んで、戒璃くんとの番関係を断ち切ってもらえば済む話。

 大好きな人に関する記憶は全て、私の中から消え去ってくれるんだから。



「おっ、俺は……」


 焦った顔で私の方に近寄ろうとしたけれど、戒璃くんは歩みを止めた。