戒璃くんは目を泳がせながら、何かを言おうとしているみたい。
でも私には、彼を構う余裕なんてない。
尖った涙を飛ばすように、語気を強める。
「わかってたよ、私なんかが戒璃くんみたいな素敵な人と結ばれるわけないって!
私はオメガだし、世間の人たちに毛嫌いされる劣等種で……
親にすら愛されず捨てられた私が、誰かに好きになってもらえるはずないってわかってたはずなのに……」
「そんなことは……」
「あの日から数か月たって、高校性バンド【89盗】として、テレビの中で戒璃くんが歌ってた時には震えが止まらなかった!
テレビの向こう側にいる人なのに、見ているのがしんどくて。
幸せな時間を思い出して。
振られたことに絶望して。
でもカッコよくて。
大好きで。
私が一番戒璃くんのファンでいたくて。
でも辛くて、逃げたくて、楽になりたくて……」
この2年半、いろんな感情に襲われて苦しかったの!



