α様は毒甘な恋がしたい

 ……うっ。

 体中が痛いからって、床に倒れこんでいる場合じゃない。

 早く立ち上がらなきゃ。


 見るからに高価すぎる花瓶を割ってしまったんだ。

 私の不注意で。

 綺麗にいけられていた花たちも、床に叩きつけられてしまっているし。



 謝らなきゃ。

 花瓶の割れた破片も片付けなきゃ。

 花も別の花瓶に生けなおして。

 濡れた床も拭いて。

 私の血が飛び散っている床も棚も、綺麗にして。


 ……あっ。


 しっかりしなきゃいけない時だってわかってる。

 まずは心を込めて、戒璃くんに謝らなきゃいけない。


 ……それなのに。


 立ち上がれなくなっちゃった。

 また涙があふれてきちゃった。止められなくなっちゃった。