α様は毒甘な恋がしたい



 まだ涙は製造され続けたまま。

 雫で視界がにじんで見にくいのに、私が走りだしてしまったからだろう。

 部屋の暗さのせいも、あったのかもしれない。



「ひゃっ!」


 足元の何かにつまづいた私。

 2、3歩よろけながら、そのまま前に倒れていって。

 棚の上に飾られていた抱えられるくらいの大きな花瓶に、私の腕がぶつかってしまった。



 ガシャガシャ、ギャシャーン!!



 陶器が割れる豪快な破壊音。

 薄暗い生徒会室に響き渡ったと同時、私の体は勢いよく床に叩きつけられた。



 「……痛いっ……っ……」


 陶器の破片が、スカートでは隠れない太ももやふくらはぎに突き刺さり。

 かばうように床に手をついたせいで、掌にも鋭い激痛が走る。


 色とりどりの花とともに、床にばらまかれてしまった花瓶の水。

 傷口に触れるたびにジリジリと痛みが強まり、顔を歪めずにはいられない。