α様は毒甘な恋がしたい

 
 隣に座ったまま、上体を私の方にひねっている戒璃くん。


「覚えておいてね」


 病んでいるような目を細め、ダークに微笑み


「他のオスにつけられたアルファフェロモンは、そう簡単には上書きできないんだよ」


 逃がさないと言わんばかりの力で、私の両肩をギュー。

 掴みながら、私の髪に顔をうずめてきた。



 ひゃっ、くすぐったい!

 鼻先でこすられている、髪の奥に隠れていた頭皮も。

 バクバクうるさい私の心臓も。

 平常心の許容範囲を超えて、背骨がゾワゾワって震えちゃう。



「やっ、やめて」

「ごめんね。やめてあーげない」


 おちゃめな言い回しなのに、声が低音すぎて怖いんですけど。