☆美心side☆


「ひゃっ!」


 驚き声とともに跳ねた私のお尻。

 腰まで伸びたストレート髪が、一斉に外側に跳ねる。


 万引きの現行犯で捕まると、こんな気持ちなのかな?

 ソファに座ったままの私の心臓は今、手錠をかけられる直前のバクバクっぷり。


 いや……もう……掛けられちゃっているのかも? 

 温かくてゴツゴツした手錠を。

 私の右手首は、血管が止まりそうなほど強い力でぎゅっと掴まれている。



 顔に当てていたブレザーから目だけを出した私は、再び「ひゃっ!」

 斜め上から、鋭い眼光が突き刺ささっているからなんだけど。

 怖いよーと心の中だけで叫んで、戒璃くんから視線をそらしちゃった。


 テレビの中の戒璃くんは、誰にでも優しい笑顔を振りまく王子様なのに。

 今は何というか、悪を許さない鬼教官みたいと言いますか……