α様は毒甘な恋がしたい


 

 「うっ、うわっ!」

 「っ、たぁ……」


 雷斗さんとカザミさんの、悲鳴めいた声が上がったと同時。

 引っこ抜かれたように私から離れていく、雷斗さんと風弥さんの腕。


 また二人のうめき声みたいなものが聞こえ

 何かが壁に豪快にぶつかるような音が響いたけれど

 私は気にしてなんかいられない。


 なんの支えもなくなった私の体は、ブレザーが掛けられたまま後ろに倒れていき。

 ワイルドなフェロモンがまとう力強い腕に、ギューッと抱きしめられた。



 「オメガの巣作りは、番の匂いにのみに沼る現象でしょ?」


 えっ、なにか言ってる?


 「俺以外のオスに臭いをつけられるなんて、許せないんだけど」


 また何かしゃべった?



 私の耳は特殊だ。

 大好きな人の情報を、すべて収集するように出来あがっている。


 でも、顔にかかったブレザーのせいだと思う。

 視界がゼロで。

 声がボソボソすぎて。

 内容までは聞き取れなかったんだ。