α様は毒甘な恋がしたい


 「んじゃ会長、またな~」

 「虹子さん、行きますよ」


 風弥さんと雷斗さんに腕を引っ張られ、つられるように足を動かしてはいるけれど。

 あの人の横を、私は通り過ぎたのかな?

 ブレザーで鼻が覆われているのにも関わらず、脳をとろけさせるような甘い匂いが嗅覚をくすぐってきた。


 オスっぽさもあり、極甘でもある魅惑めいた香り。


 嗅覚だけじゃない。

 私の全神経が、彼のフェロモンを恋しがっているのがわかる。



 この私が、甘い声を聴き間違えるはずがない。

 魅惑の香りを嗅ぎ間違えるはずがない。


 今、すぐそばにいるってことだよね?

 私の最推しが!

 最愛なるアルファ様が!



 まっまさか……

 彼が生徒会長を務める高校に、私は転入してきちゃったってこと?


 聞いてないよ。

 そんな偶然、想像もしていなかったよ。

 アルファしか通えない高校なんて、この国にはたくさんあるんだから!