α様は毒甘な恋がしたい




 二人がすっと立ち上がった。

 まるで騎士のような勇み顔で、エレベーターのドアを見つめている。

 そして私に背を向ると、コソコソと何かを話し始めた。



 「……はぁ……気づかれてしまいましたね」

 「美心がこの学園に転入してくること、あいつに話してねーのにな」

 「番のオメガフェロモンを、嗅ぎとったってことでしょうか」

 「こんなに 離れてんのに? 戒璃と美心が運命の番同士かもって調査書に書いてあったけど、事実なのかよ?」

 「それはないでしょう。運命の番なら女遊びなんてせず、美心だけに極甘な求愛行動をとるはずですから」

 「あいつにはマジでイラつく。美心を捨てて傷つけたくせに、今さら番づらしてんじゃねーよ」

 「同感です。竜巻で学園内全ての木をなぎ倒したいほどの強い怒りが、抑えられません」