α様は毒甘な恋がしたい


 「……えっ? 雷斗が儀式中に、力加減間違えたのが原因なのでは?」

 「ちげーし」

 「では、エレベーターのこの暴走っぷりは……」

 「犯人はアイツしかいねーわな」

 「まっ……まさかっ!」



 壁に片手をついたまま立っている、風弥さんと雷斗さん。

 ひたいに絶望線が、びっしり入っているように見える。


 まるで、とんでもない化け物に襲われる直前のよう。

 勇ましくこぶしを握りしめながらも、二人の瞳は不安げに泳いでいて。

 極度の緊張と覚悟が、二人の表情から見て取れるけど……

 一体、何が起きているの?



 エレベーターの中に流れる、穏やかとは言えない重苦しい空気。

 尻もちをついている場合じゃない!

 立ち上がろうと、私は床に手をついたのに……


 「美心、バカっ!」

 「立ってはダメです!」


 焦り声をあげた二人が、座ったままの私に覆いかぶさってきた。

 私を守る騎士(ナイト)のよう。

 絡めた腕に力を込めている。