α様は毒甘な恋がしたい

 「美心、準備が整いました」

 「八神戒璃のことは忘れても、俺様と過ごした時間は一秒たりとも忘れんなよ!」


 私の後頭部にうずめられている二人の鼻がしらが、髪をなぞるように下に滑っていく。



 風弥さんの唇だけが私の頬に行きつき、柔らかく沈みこんだちょうどその時

 ガタン!

 止まっていたエレベーターが揺れた。

 体が斜めに傾くほどの大きな横揺れ。


 ダンスで体感を鍛えているであろう双子アイドル様は、壁に手をつき転倒を防げたが……

 さすが私。

 バランス感覚が乏しいだけのことはある。

 3人の中で私だけが、ドスン!

 豪快に尻もちをついてしまった。



 「美心、大丈夫か?」