「戒璃くんと出会った日のことを、私は思い出せなくなるってことですか?」
「今日まであなたの瞳に映し続けたテレビの中の八神戒璃の姿も、彼に対して抱いた感情も、あなたの脳内から一掃されるということです」
……それは
……イヤ
……だな。
今まで何度も思ったよ。
戒璃くんのことを忘れられたら、楽になれるのかな?
失恋のつらさで、心が痛むこともなくなるのかな?って。
でも……
本当に大好きだったの。
彼以外にときめかないくらい、ずっと想い続けてきたの。
それなのに私の思い出ボックスから、はぜたシャボン玉のように戒璃くんの記憶が一瞬で消えちゃうなんて。
本当にいいのかな?って、心の奥がザワザワ騒ぎはじめちゃった。
今ここで即決して、後悔はしたくない。
だから……



