α様は毒甘な恋がしたい



 悲しみが溶ける私の視線は、いまだ大型スクリーンに釘づけのまま。

 ギターの弦をはじきながら歌う戒璃くんから、どうしても目が離せなくて


 ……戒璃くんを見てると、苦しいんだってば。

 ……捨てられた日のことを、思い出しちゃうんだってば。


 彼に対する愛情と憎悪の両極端な感情に、ハートが押しつぶされそうになってしまうんだ。




 私の隣に立つ女子2人は、明らかに89盗(はくとう)の大ファンだ。

 キャーキャー言いながらあごを上げ、大型スクリーンを食い入るように見つめている。


「かいり様、ほんとヤバい!」

「麗しすぎて、目が溶けるぅぅ~」


 心臓に手を当て悶えているのなんて、熱狂的信者特有の求愛行動で間違いないだろうし。



 わかりやすいな。

 可愛いな。

 うらやましいな。

 私もなりたかったよ。

 ライブ会場に行って戒璃くんカラーの紫ペンライトを大振りしちゃうくらい、行動力のある熱狂的信者に。