α様は毒甘な恋がしたい



 私の目の前に出された、2つの手。

 オロオロしながら、ゆっくりと視線を上げてみたけれど。

 ひゃい!

 目の前の二人が、とろけるような笑みで私を見つめてくるんだもん。


 こんなに優しい表情を、私に向けないで!


 理由はよくわからない。

 心臓が爆ついて、脳内がぐちゃぐちゃになって。

 胸あたりが、ギューギュー苦しくなってしまいましたから。




 私の背中は今、壁にぺたっと状態。

 密室の箱の中。

 逃げ場なんてものはない。


 エレベーターは止まったままで、全く動いてはくれないし。

 私の心臓だけが、猛スピードでガガガっと駆けあがっている。



 「えっと……あの……」

 「頬を赤らめながら、大粒な瞳を左右に泳がせているなんて。美心は雪ウサギよりも可愛いですね」