α様は毒甘な恋がしたい



 ひぃえぇぇ!

 なんていう無茶ぶり。


 たった3歩。

 前にフラつけば、雷斗さんの男らしい胸に顔をうずめられる状況ではありますが。

 人に抱き着くなんて、私にできるはずがないし。

 恥ずかしすぎだし。


 「何ためらってんだよ。簡単だろ?」

 「……うっ」

 「オスのぬくもり、感じた経験あるくせに」

 「ん?」

 「噴水に落ちた時」


 たっ、確かに。

 あの時は、雷斗さんに抱きしめられましたけど。


 でもあれは私の意思とは関係なし。

 事故みたいなものだったじゃないですか!

 気づいたら突進してきた雷斗さんの腕に包まれていて、噴水にジャボンなんて……



 「ん? まだ?」


 手を広げたまま、睨まないでください。

 アイドルというより金髪総長様。

 眼圧エグすぎ、鋭すぎ。


 「美心から甘えてこないと、いつまでたってもこのエレベーターを動かしてやんねーぞ」