α様は毒甘な恋がしたい



 乗り込んだ時には、エレベーターの中にゆとりがあるって思っちゃったけど。

 訂正です。

 めちゃくちゃ狭すぎです。

 逃げ場なんてどこにもないんです!


 あっ、でも大丈夫か。

 エレベーターは1階に向けて上昇しているんだもん。

 そろそろエントランスに着くはず……って。



 「ひゃっ!」


 なっ、なんで?

 今、エレベーターがガタンと揺れたの。

 すぐに揺れが収まったから、倒れはしなかったけれど。


 動いてないの。

 完全に止まっちゃったの。

 私たちが乗った、この密室箱が。


 ん?

 非常事態だと焦っているのは、私だけのような。

 なんで目の前に立っているこの二人は、余裕の笑み倍増のニコニコ状態なの?


 「あの……エレベーターが……」

 「フフフ、止まってしまいましたね」


 だから、なぜ笑顔?