α様は毒甘な恋がしたい



 「美心さんはオメガフェロモンを撒き散らしそうになったら、特別棟の空き教室に逃げ込むんだよ」

 「次のヒート予定日まで一ヶ月以上あるので大丈夫だと思いますが、ちょっとでも熱っぽくなったらすぐ隠れるようにします」

 「美心さんはしっかりしていそうだから大丈夫か。じゃあ放課後また、この地下駐車場に迎えに来るから」

 「サンキュ、マネージャー」

 「迎えもよろしくお願いします」




 私たちの前から走り去る、黒いワンボックスカー。

 雷斗さんは総長様っぽくワル笑みをこぼしながら、仁王立ちでお見送り。

 風弥さんは眼鏡がずれるくらい、深く頭を下げている。


 ――双子だけど、性格は全然違うんだな。

 そう思ったらおかしくて、私の口から「フフフ」と笑いがこぼれちゃった。