α様は毒甘な恋がしたい

 私たちが車の外に出た後、運転席にいるスーツ姿の男性が窓を開けた。

 30歳手前くらいかな?

 ハンドルの上に顔を置き、不安げな顔で雷斗さんと風弥さんを見つめている。


 「二人ともいいか」

 「んぁ?」

 「なんですか、マネージャー?」

 「今日が美心(みこ)さんの初登校なんだ。車の中みたいな求愛行動は絶対にするなよ」

 
 ……っ、さっきの求愛行動なの?

 ちっ違うよ!

 アイドル様特有のファンサだよ!

 私を利用するための、餌付けみたいなものだよ!



 「マネージャー、それ耳タコ。何度も聞いたし。耳腫れるほど聞いたし」

 「人の目があるとこでは、美心とは他人のフリすればいいんですよね?」