「あっ。見て慧くん! あの水槽、七夕にちなんだ魚だって」
館内の特設水槽には、七夕の名前が入った『シモフリタナバタウオ』や、天の川が名前に入った『アマノガワテンジクダイ』が展示されている。
「わたし、こんな名前の魚がいるなんて知らなかったよ」
初めて見る魚たちに、わたしは目を輝かせる。
アマノガワテンジクダイは白い斑点が特徴的で、名前にもある通り、まるで星を散りばめた天の川みたいだ。
「へぇー、面白いな」
隣で慧くんが、魚を見ながら目を細める。
「世の中にはきっと、まだまだわたしたちの知らないことがたくさんあるんだろうね」
今みたいに魚の名前だったり、美味しいものや美しい場所だったり。
そういった色々なものを、これから慧くんと一緒に見て触れて、知っていけたら良いな。
「ああ。これからも二人でいろんな所に出かけて、たくさん思い出を作ろうな」
水槽から離れ、薄暗く人の目がない柱の陰にくると、慧くんにこめかみにキスを落とされた。
「慧くん……っ」
「ねぇ。もう1回だけ、良い?」
わたしが頷くと、今度は唇に慧くんのものがそっと重なった。



