「えっ。父さん……ほ、本当に!?」
てっきりまた反対されるのだとばかり思っていた俺は、開いた口が塞がらない。
「ああ。とりあえず、現時点では認める」
『認める』という、父からずっと欲しかった言葉を聞けた俺は胸がじんと熱くなる。
「慧さんはひとりっ子で、会社の跡取りだから。慧さんのためだと思って、これまで人よりも厳しくしてきたつもりだけど。
私たちが厳しくしすぎたせいで、慧さんが反抗して髪の毛を派手に染めたり、留年したのかもって思ったら……ちょっとやり過ぎたかしらって、お父さんと反省していたのよね」
まさか、母さんたちがそんなふうに思っていたなんて意外だった。
「また私たちが反対して、慧に一堂家から出て行くなんてことを言われたら困るしな。お前は私と母さんにとって、たったひとりの大事な息子だから」
父さん……。
「私たち夫婦は家のためにと、親の決めた人と結婚したから、それが普通だと思っていたけど……。大切な息子の幸せを願うなら、本当に好きな人と一緒にさせてあげないといけないわね」
母さんも……っ。
初めて聞く両親の言葉の数々に、俺は目頭が熱くなる。
「父さん、母さん……ありがとうございます」
「ただし……」
父の目が、鋭く光る。



