イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない



「いや、慧もそれだけ大人になったというべきか」


 え?


「お前のことだから、私や母さんが何度交際を反対しても……あのお嬢さんとは絶対に別れないんだろう?」


 父の言葉に、俺は俯いていた顔を上げる。


「まあ、あの何通かの手紙を読んだ感じだと、依茉さんは悪い人ではなさそうだしな」

「えっ。まさか、父さんも依茉からの手紙を読んで……?」


 俺の問いかけに、父の唇が弧を描く。


「ほんと、初めてよね。私たちが何を言っても、慧さんが自分の意志をここまで貫くのは。それだけ慧さんにとって依茉さんは、大切な存在なのね」

「そうだよ。俺は依茉と、互いに支え合っていきたい。そして学校のことも……将来的には、家や会社のこともしっかりとやっていきたい」


 俺は、両親を真っ直ぐ見据える。


「ねぇ、あなた……」

「……ああ」


 両親が、それぞれ頷き合っている。


「慧」

「はい」


 厳しい顔つきの父に名前を呼ばれ、俺は肩が跳ねる。


「お前と彼女の交際を……認めよう」