依茉に聞かれて、俺は頷く。
「良かった。わたしのお母さんがね、毎日のように『今日は学校どうだった?』って聞いてくるの。たまに、ちょっと鬱陶しいなって思うときもあるけど。『親は、子どものことが気になるものなのよ』って言われて……」
依茉が、小さく笑う。
「だから、もしかしたら慧くんのご両親もそうなのかな? って思って。慧くんが、最近ご両親と会ってないって聞いて。それで、慧くんのことを手紙に書いたんだ」
そうだったんだ。
「あっ、でも……ごめんね? 勝手なことをしてしまって。慧くんのお母さんにもきっと、迷惑に思われてるよね」
依茉が、しょんぼりとする。
「ううん。嬉しいって言って、珍しく笑っていたよ」
「うそ。一堂さんが……?」
依茉が目を丸くする。
依茉は、驚いた顔ですら可愛いな。



