イケメン御曹司は、親友の妹を溺愛して離さない



 翌朝。


「おはよう、依茉」

「おはよう、慧くん」


 いつも通り家まで車で迎えに来てくれた慧くんに、わたしは挨拶をする。


「寺内さん、おはようございます」

「はい。おはようございます」


 後部座席のドアを開けてくれる執事の寺内さんが、にこやかに微笑んでくれる。


「寺内さん、毎朝ありがとうございます。だけど、送迎は今日までで結構です」

「え? どうしてだよ、依茉」


 後部座席に座る慧くんが、目をわずかに見開く。


 先輩女子たちに呼び出さて、怪我をしたあの日から2週間。


 毎日学校の行き帰りに、こうして慧くんの実家の車で送迎してもらっていたけど。


「最近は、先輩たちに睨まれることもなくなったし。何より……慧くんのお母さんたちに交際を反対されているわたしが、この車に乗る資格はないなと思って」

「えっ。母さんたちが反対していること、なんで依茉が? 俺、依茉に話していないはずだけど……まさか」