慧くんとの電話を終えたわたしは、スマホのロック画面を見つめる。


 そこには、彼と正式に付き合う前の初デートで一緒に撮ったプリクラが映っている。


 慧くんのお母さんに睨まれ、別れるよう強く言われて。精神的に、ちょっと参ってしまっていたけれど。


 一堂さんに宣言したとおり、やっぱりわたしは慧くんと別れたくない。


 わたしは一度失恋を経験しているから、痛いほどよく分かる。


 好きな人と両想いになるのは、奇跡なんだってことが。


 だから、ワガママかもしれないけど……。


 慧くんに嫌われていない限り、そう簡単に彼から離れたりはしたくない。


 わたしの頭の中には、慧くんとの思い出が次々と浮かんでくる。


 慧くんのバイト先のカフェで食べたオムライスに、ゲーセンで彼が取ってくれたネコのキーホルダー。


 遠足の登山や、保健室で慧くんがわたしの足の怪我の手当をしてくれたこと。他にもたくさん……。


 そして何より慧くんはいつも真っ直ぐ、わたしに好きだと伝えてくれる。


 わたしは、そんな彼のそばにいたい。


 慧くんとの思い出を、これからもたくさん増やしていきたい。


 慧くんと電話で話して、自分の気持ちを再確認することができた。