「依茉、もしかして緊張してる?」


 わたしは、慧くんに素直に頷く。


「大丈夫だよ。パーティーと言っても、ホームパーティーみたいなものだから。当日は、気軽な気持ちで参加してくれたら良いから」

「うっ、うん」


 そっか。ホームパーティーなんだ。


 といっても、わたしたちが家でする誕生日パーティーとか、そういうものとはまた訳が違うんだろうなぁ。


「依茉」


 慧くんに、名前を呼ばれたと思ったら。


 わたしのこめかみに慧くんの大きな手が添えられ、わたしはそっと頭を彼の肩へとのせられた。


「け、慧くん!?」


 わたしは、隣に座る慧くんの肩に寄りかかる体勢になり、慧くんがいつもつけているシトラスの香水の香りがふわりと鼻を掠める。


「依茉なら、大丈夫だよ。いつもみたいに笑っていれば、それで良い。だって依茉の陽だまりみたいな笑顔は、世界一可愛くて素敵だから」


 慧くん……。


「大丈夫、大丈夫」


 慧くんはそう言いながら、何度もポンポンと頭を優しく撫でてくれる。


 慧くんの温かくて大きな手に頭を撫でられると、すごく安心する。


 慧くんに大丈夫って言われたら、本当に大丈夫な気がしてきたよ。