俺が中学1年の頃に付き合っていた彼女との交際がバレたときも、彼女をパーティーに連れて来なさいと母に言われて連れて行ったけど。
『あのお嬢さんは、慧にはふさわしくない。お前には、将来私と母さんが決めた相手とお付き合いし、結婚してもらわないといけないのだから』
結局は父にそう言われて、二人で強制的に俺を彼女と別れさせたんじゃないか。
俺は、拳を強く握りしめる。
「それとも慧さん、彼女と一度も会わずに私たちに交際を反対して欲しいの?」
「……いえ」
「それじゃあ、決まりね。パーティーの詳細はまた連絡するから。楽しみにしてるわ」
今回は、あのときと同じようにはさせない。
俺は、何よりも依茉のことが大切で大好きなのだから。
玄関へと歩いていく母の後ろ姿を見つめながら、俺はひとり固く決意した。