「当たり前だろ。今初めて話したんだから」

「ねぇ。相手は誰なの!? どこの家のご令嬢?!」

「同じ学校の子だけど。別に、誰だっていいだろ。俺が好きで付き合ってるんだから」


 俺は、母から目をそらす。


 中学の頃から密かに想っていた依茉と、やっと付き合えたんだ。

 だから、依茉のことはまだ極力親に知られたくない。

 今はただ、誰にも邪魔されずにゆっくりと依茉との愛を育みたい。


「とにかく、お見合いはしないから。母さん、話はそれだけなら帰ってくれ」


 俺は、母親から背を背ける。


「慧さんって確か……女の子を1ヶ月ごとに、取っかえ引っ変えしてるのよね?」


なんで今、そんな話を……!


「その子も、どうせ遊びで付き合ってる子なんでしょう?」

「……っ、違う! 遊びなんかじゃない。依茉のことは、本気だ」

「へぇ。本気なの……」


 俺がつい大声をあげると、母親は口の端をくいっと上げる。


「だったら、次の週末に家でパーティーがあるから。そこに、彼女を連れてきなさい」